【ACT①】嫌なことから逃げず,大事なことができる自分に!

アクセプタンス&コミットメント・セラピー
ミサキ
ミサキ

最近部活の友達と喧嘩しちゃって・・・。
後からやっぱり悪かったと思って,謝りに行こうと思ったんですけど,もう許してくれないんじゃないかって怖くて・・・。
結局ずっと家に引きこもってしまって・・・。

ハルハル
ハルハル

拒絶されるのが怖い」気持ちに押されて,友達になかなか会いに行けないんですね・・・。
だったら,もしかしたらACTアクトが,ミサキさんの役に立つかもしれませんね!

ミサキ
ミサキ

なんですかそれ?
ACTっていうのをやったら,拒絶されてしまう怖さに負けずに,友達と仲直りしに行けますか?

こんばんは。ハルハルです!
今回は,アクセプタンス&コミットメント・セラピー,通称「ACT(「アクト」と読みます)」シリーズ第1回をお送りします注1)参考:Luoma, J., Hayes, S. C., & Walser, R. (2007). Learning ACT. Oakland: New Harbinger Publications.(ルオマ, J. B.・ヘイズ, S. C.・ウォルサー, R. D. 熊野 宏昭・高橋 史・武藤 崇(監訳)(2009).ACTをまなぶ 星和書店)

ACTは,嫌な思考や感情に負けずに,自分にとって大切な行動ができるようになるためのトレーニングです。
ACTは,いま最も科学的究明が進んでいる心理療法である「認知行動療法」のひとつです。
実験によって,うつや不安など,多くの心理的問題に効果的であることが分かっています注2)Coto-Lesmes, R., Fernández-Rodríguez, C., & González-Fernández, S. (2020). Acceptance and Commitment Therapy in group format for anxiety and depression. A systematic review. Journal of Affective Disorders, 263, 107-120. ; A-Tjak, J. G., Davis, M. L., Morina, N., Powers, M. B., Smits, J. A., & Emmelkamp, P. M. (2014). A Meta-Analysis of the Efficacy of Acceptance and Commitment Therapy for Clinically Relevant Mental and Physical Health Problems. Psychotherapy and Psychosomatics, 84, 30-36

今回は第1回ということで,「ACTがどんなものなのか」ざっくり知ってもらう紹介回にしようと思います。

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体験の回避をやめてアクセプタンスする

ハルハル
ハルハル

ミサキさんは,「友達から拒絶される怖さ」から逃れようと引きこもってしまったんですよね。
引きこもってしまう以外に,不安や恐怖から逃れるための行動を何かしましたか?

ミサキ
ミサキ

うーん,そういわれてみれば,不安を忘れるためにヤケ食いしたり,気晴らしにテレビを見てみたり,何もすることがないときはひたすら,友達のことを考えないように別の楽しいことを考えるようにしてました。

ハルハル
ハルハル

なるほど・・・。
では,そのような方法をとってみて,実際に不安や恐怖から逃れられましたか?

ミサキ
ミサキ

やってみた直後は不安はなくなったんですが,しばらくすると余計に不安感・恐怖感に襲われました・・・

シロクマ実験:思考からは逃れられない

本題に入る前に,皆さんに簡単な実験をやっていただきましょう
実験内容は簡単です。

いまから15秒間,「シロクマ」のことを絶対に考えないでください
実験が終わるまではスクロールしないでください。
では,スタート!

実験してみましたか?どうだったでしょう?
おそらく,多くの方が,すぐにシロクマのことを考えてしまったのではないでしょうか
そして,何とか15秒間考えずに済んだごくわずかな方も,15秒経った後,怒涛のシロクマの群れが脳内を駆け巡ったのではないでしょうか

ここから皆さんに体験していただけたことは,次のことでしょう。

シロクマ実験からわかったこと
  • 思考を止めることはほぼ不可能である
  • 一時的に思考から逃れることに成功しても,思考はより大きくなって戻ってくる

体験の回避とネガティブ感情のループ

さて,ネガティブな思考や感情から逃れようとする行動を,「体験の回避」といいます。

シロクマ実験と同じように,体験の回避で思考や感情から逃れようとしても,ネガティブな思考や感情はすぐに戻ってきてしまいます
ミサキさんも,友達から拒絶される不安を消そうと奮闘していましたが,ことごとく失敗していましたね。
でもこれだけでなく,体験の回避はさらに厄介なデメリットを持っているのです。

自然消滅するはずのネガティブ思考・感情がいつまでたっても続いてしまう

軽いネガティブ感情や思考は,しっかりと体験すれば,自然に消えてなくなってしまうのが普通です。
皆さんも,とっても悲しいことやつらいことがあっても,月日が経つうちに,思い出しても苦にならなくなった経験があるのではないでしょうか?
つまり,ネガティブな思考・感情に「慣れてしまう」ということです注3)あくまで日常レベルの苦痛の話で,PTSDなどのトラウマには,専門家による援助を求める必要があります。

しかし,そのようなネガティブ感情・思考を十分に体験せずに回避してしまうと,いつまでも慣れることができません
かくして,体験の回避とネガティブ感情が悪循環を起こす,「回避のループ」が出来上がります。
苦痛は大きくなっていき,うつ病や不安症などの精神疾患に発展する場合もあります。

アクセプタンス:回避のループを断ち切る!

大事なのは,体験の回避をしないことです。
体験の回避をせずに,ネガティブ思考や感情を積極的に体験しようとすることを,ACTでは「アクセプタンス」といいます。
ACTでは,エクササイズを通してアクセプタンスを身に着けていきます。

苦痛をアクセプタンスすれば,ネガティブ感情が余計に増えたり,いつまでもとどまったりすることはありません
それだけでなく,今まで体験の回避に費やしていたエネルギーを使って,次にお話しする「価値へのコミットメント」をすることができます!

価値へのコミットメント:生きたい人生を自由に生きる

ミサキ
ミサキ

体験を回避せず,アクセプタンスすればいいのはわかりました。
でも,それだったらただ苦痛に耐え続けるだけの人生ですよね。
ACTやってる人って,修行僧みたいですね。

ハルハル
ハルハル

「苦痛に耐える」こととは少し違うのですが,ACTは,仏教にルーツを持つ「マインドフルネス」という考えを取り入れているので,「修行僧」は少しだけいい線いってますね(笑)
でも,それはそれとして,ACTの真の目的は,「自分が心からやりたいことをできるようにする」ことです
実はアクセプタンスは,その手段でしかありません。

価値の明確化:大切な人や大切なものごとは?

すぐ上で言ったように,ACTが目指すのは,苦痛をアクセプタンスしたうえで,「自分がやりたいことを自由にできる」ようになることです。
そのためにまず,自分にとって大切な人や大切なものごとを,はっきりと言葉にします。
この大切な人や物事のことを,ACTでは「価値」といいます。

ACTで,価値を明確化するために行うエクササイズ注4)探したのですが,このエクササイズの出典が見当たりませんでした。見つかり次第追記します。のひとつを,少し体験してみましょう

いまから少しのあいだ,あなたがとても尊敬している人のことを思い浮かべてください
思い浮かべましたか?
では次に,その人のどんなところを尊敬しているのか振り返ってみてください。
その人はどんなことをしてきましたか?どんな人柄でしょうか?
最後に,その人の尊敬できる部分を,一言で表すとしたら,どんなところでしょうか?

ミサキ
ミサキ

私は松潤かな~~
かっこいいところも好きだけど,節々から嵐のメンバーを大切に思っているのが伝わってきて,素敵だなって思います!

ハルハル
ハルハル

それは素敵ですね。
松潤と同じで,ミサキさんも,「仲間を大切にする」ことに価値を置いているんですね。

上のエクササイズは一例ですが,このような作業を通じて,価値を明確化していきます。
価値を明確化は,次でお話しするコミットメントのために必要不可欠な段階です。

コミットメント:人生を「価値ある行動」で満たす

価値が明確になってきたら,次は,その価値に沿った行動を実際に起こしていきます。
価値に沿った行動を起こすことを,「コミットメント」といいます。
みなさんにとってのコミットメントは何をすることでしょうか?

ミサキ
ミサキ

私にとっての価値は「仲間を大切にすること」・・・。
じゃあ私が今できる,価値へのコミットメントは,「友達に『仲直りしてほしい』って伝えること」ですね!

ACTには,「頭でいくら考えても,行動を起こさないと意味がない」という理念があります。
ときには,しっかりと頭を使って考えることも大切ですが,頭で悩んでばかりいると,体験の回避をしてしまいやすいというデメリットもあります。
逆に,自分の大切なことにコミットメントしていく中で,体験の回避をすることも少なくなり,心の問題が悪化することも減っていくと考えられています。

ヘキサフレックス:体験を回避せず価値に近づくために

ミサキ
ミサキ

ACTを実践すれば,「友達から拒絶される不安」から体験の回避をすることなく,私の「仲間を大切にする」という価値に沿って,「仲直りしに行く」というコミットメントを選択できるようになることが分かりました!
でも,アクセプタンスとかコミットメントとか,実際にどういう風にやっていったらいいんですか?

ハルハル
ハルハル

それは次回以降のお楽しみですね。
今回は,少しだけ予告として,ACTを具体的に実践していくための道しるべとなる,「ヘキサフレックス」を紹介します。
これに沿って,次回以降,ACTを実践していきます。

下の六角形が,「ヘキサフレックス」です注5)武藤 崇・三田村 仰(2011).診断横断的アプローチとしてのアクセプタンス&コミットメント・セラピー――並立習慣パラダイムの可能性―― 心身医学,51,1105-1110.Fig.1を一部改変
今日お伝えした,「アクセプタンス」「価値」「コミットメント」のほかに,見たことのない言葉もいくつかありますね。
知らない言葉も,次回以降,分かりやすく解説していくので心配ありません。

アクセプタンス」「脱フュージョン」「今,この瞬間との接触」「観察する自己」「価値」「コミットメント」。
この6つのスキルをそれぞれ習得していく中で,「嫌な思考や感情があっても,体験の回避をせずに,価値にコミットメントしていく」ことができるようになっていきます
このようになることを,ACTでは「心理的柔軟性が高まる」といいます。
ストレッチで体を柔軟にするように,ACTではいくつものエクササイズを通じて,柔軟に価値ある行動を取れるようにトレーニングするんですね!

さいごに

さて,ACTの概要を,なるべくシンプルに分かりやすく解説したつもりですが,どうだったでしょうか…?
もし説明に至らない点や不十分な点があれば,コメントでお伝えください。
次回以降は,上のヘキサフレックスに沿って,「アクセプタンス」から解説していきますね!
乞うご期待!

  • ACTは,嫌な思考・感情があっても,逃れようとする(体験の回避)ことなく,自分にとって大切な人やものごと(価値)に沿って行動(コミットメント)できるようになるためのトレーニング!
  • 体験の回避は逆効果で,ネガティブ感情との悪循環を生んでしまう
  • 体験を回避せず,アクセプタンスすることで悪循環を断ち切る!
  • 価値を明確化したら,頭で考える前にコミットメント!
  • ヘキサフレックス」に沿ってACTを実践する

※すべての心理学理論には個人差があります。
※本記事におけるアドバイスは,自己責任でご実践ください。

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