感情を自覚してメンタルヘルス向上!【ネガティブ感情区別】

感情区別
Aさん
Aさん

とってもつらいです。
自分が怒っているのか悲しんでいるのか不安なのか,よくわかりません。
とにかくつらくて,どうしようもないです・・・。

Bさん
Bさん

最初はやっぱりすごく悲しかったです。
でも悲しさの次に感じたのは,何もできなかった自分に対する怒りです。
怒りと,自分に対する嫌悪感ですね・・・。

おはようございます。ハルハルです。
さて早速ですが,上の男女は,どちらも恋人から振られた直後です注1)二人の反応の仕方については以下を参考にしました:Barrett, L. F. (2006). Solving the Emotion Paradox: Categorization and the Experience of Emotion. Personality and Social Psychology Review10, 20-46.
どちらもよくある反応ですね。

さて,ここで問題です。
Aさん(上の女性)かBさん(下の男性)か,どちらが心の病気になりやすいと思いますか?

 

この記事では,心の病気になりやすい人がどんな人かと,そのような人が心の病気を予防する方法について解説したいと思います。

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「ネガティブ感情区別」ってなに?

さて,冒頭の男女の違いがわかりますか?
違いは「ネガティブ感情とネガティブ感情を区別できているかです。
別の言い方をすれば,「ネガティブ感情をひとつひとつ細かく表現できているか」です。
このようなネガティブ感情の区別能力のことを,「ネガティブ感情区別」といいます注2)Barrett, L. F., Gross, J., Christensen, T. C., & Benvenuto, M. (2001). Knowing what you’re feeling and knowing what to do about it: Mapping the relation between emotion differentiation and emotion regulation. Cognition and Emotion, 15, 713–724.

Aさん(上の女性)の場合は,自分の感情がよくわからず,「つらい」という大雑把な言葉で表現していますね。
つまり,ネガティブ感情区別がうまくできていないといえます。

Bさん(下の男性)の場合は,自分の感情をひとつひとつ区別して,細かく表現できていますね。
つまり,ネガティブ感情区別が上手いといえます。

ネガティブ感情区別が不得意な人ほど心の健康が低い

さて,冒頭の問題では,Aさんの方が心の病気になりやすいということでした。
Aさんがそうであるように,ネガティブ感情区別が不得意な人ほど心の健康が低く心の病気になるリスクが高いことがわかっています注3)Kashdan, T. B., Barrett, L. F., & McKnight, P. E. (2015). Unpacking Emotion Differentiation: Transforming Unpleasant Experience by Perceiving Distinctions in Negativity. Current Directions in Psychological Science, 24, 10-16.

ネガティブ感情区別の能力が低いほど,うつ病統合失調症社交不安症境界性パーソナリティ障害アルコール問題攻撃的な行動などのリスクが高いことが示されています注4)Kashdan et al.,(2015)

どうしてネガティブ感情区別と心の健康が関連?

なぜネガティブ感情区別が不得意なほど心の健康が低いかについては,まだわかっていないことが多いですが,最近ではマインドフルネス」が関わっているという説が出ています。

「マインドフルネス」というのは,今,この瞬間の自分の考えや感情に対して「良い,悪い」とかいう判断をすることなく,意識的に注意を向けていくことをいいます。
つまり,「思考や感情から距離を取って,それらにとらわれない」ということですね。

たとえば,不安を感じても,「あ,『不安』が生まれてきた。お,徐々に弱まってる。今,『不安』が消えた」という風に意識的に不安という感情を観察することをいいます。

そして,このマインドフルネスが高いほど,心の健康が高いことがわかっています注5)Carpenter, J. K., Conroy, K., Gomez, A. F., Curren, L. C., & Hofmann, S. G. (2019). The relationship between trait mindfulness and affective symptoms: A meta-analysis of the Five Facet Mindfulness Questionnaire (FFMQ). Clinical Psychology Review, 74, https://doi.org/10.1016/j.cpr.2019.101785

ネガティブ感情区別が不得意なほどマインドフルネスが低い

さらに,ネガティブ感情区別が不得意なほど,マインドフルネスが低いことがわかっています注6)Hill, C. L. M., & Updegraff, J. A. (2012). Mindfulness and its relationship to emotional regulation. Emotion, 12, 81–90.
ですので,「ネガティブ感情区別が不得意→マインドフルネスが低い→心の健康が低い」というプロセスが考えられます。

どうやって心の病を予防する?

さて,ここまでさんざんおどかすようなことを書いてきましたが,ネガティブ感情区別以外にも心の健康に影響する要因はたくさんあるので,ネガティブ感情区別が不得意だからといって,

Aさん
Aさん

もうだめだ~
私はどうせ病気になるしか道はないんだ~

などというように悲観的に考える必要は全くありません!

しかし,ネガティブ感情区別の低さが心の病気のリスクを高めることは事実ですので,自分にできる対策をすることは得策でしょう。
ここでは,2つの対策方法を提案します。

ACTを実践してみる

ネガティブ感情区別が不得意な人ほどマインドフルネスが低いことはすでに述べました。
このマインドフルネスを高めるためにうってつけのトレーニングがあります。
それは,アクセプタンス&コミットメント・セラピーACTアクト)です。
このACTについては下の記事で詳しく解説しているので,ぜひご覧ください。

実際に,ACTは多くの心理的問題に効果的であることがわかっています注7)Coto-Lesmes, R., Fernández-Rodríguez, C., & González-Fernández, S. (2020). Acceptance and Commitment Therapy in group format for anxiety and depression. A systematic review. Journal of Affective Disorders263, 107-120. ; A-Tjak, J. G., Davis, M. L., Morina, N., Powers, M. B., Smits, J. A., & Emmelkamp, P. M. (2014). A Meta-Analysis of the Efficacy of Acceptance and Commitment Therapy for Clinically Relevant Mental and Physical Health Problems. Psychotherapy and Psychosomatics84, 30-36.

ネガティブ感情を自覚するトレーニングアプリを使う

また,スマートフォンアプリを使って,自分のネガティブ感情を自覚するトレーニングを継続することで,ネガティブ感情区別が上達することが,研究によって示されています注8)Widdershoven, R. L. A., Wichers, M., Kuppens, P., Hartmann, J. A., Menne-Lothmann, C., Simons, C. J. P., & Bastiaansen, J. A. (2019). Effect of self-monitoring through experience sampling on emotion differentiation in depression. Journal of Affective Disorders, 244, 71–77.
残念ながら,その研究で使われたアプリは市販されていないのですが,市場に出回っている無料アプリで,似たような機能を持ったアプリがあります。

MoodPrismという無料アプリは,科学的にメンタルヘルスへの効果が検証されており,おススメです。
以下のリンクからダウンロードできます(MoodPrismと当サイトは一切利益関係にありませんので,安心してダウンロードしてください)。

Google Play で手に入れよう

MoodPrismを使うことで,感情への気づき・生活の質が高まることや,不安や落ち込みで悩む人の気分が改善することが,研究から示されています注9)Bakker, D., Kazantzis, N., Rickwood, D., & Rickard, N. (2018). A randomized controlled trial of three smartphone apps for enhancing public mental health. Behaviour Research and Therapy, 109, 75–83.; Bakker, D., & Rickard, N. (2018). Engagement in mobile phone app for self-monitoring of emotional wellbeing predicts changes in mental health: MoodPrism. Journal of Affective Disorders, 227, 432–442.; ただし,これらの研究では,①直接感情区別を測定していないことと,②不安と落ち込みに効果がみられたのは,不安と落ち込みを強く感じている人たちに対してのみである(不安と落ち込みが弱い人たちには効果がみられなかった)ことに注意する必要があります。

おわりに

さて,ネガティブ感情区別について解説しましたが,いかがだったでしょうか?
ネガティブ感情区別が不得意だと感じた方は,記事で紹介したトレーニングをぜひ試してみてくださいね!
トレーニングはすぐに効果を発揮するとは限らないので,1,2ヶ月は続けてみるとよいでしょう。
では,今日はこのへんで失礼します!

  • 自分のネガティブ感情とネガティブ感情を区別する能力のことを,「ネガティブ感情区別」という
  • ネガティブ感情区別が不得意な人ほど,メンタルヘルスが低く心の病に陥るリスクが高い
  • その理由として,マインドフルネスの低さが考えられている
  • 予防・対策としてはネガティブ感情区別を高めるためにアプリを使ったり,マインドフルネスを高めるためにACTを使ってトレーニングすることがオススメ!

※すべての心理学理論には個人差があります。
※本記事におけるアドバイスは,自己責任でご実践ください。

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